今回は、別府で「マナブレッド」というパン屋さんを開いている友人の話です。
出会ったのはもうずっと昔の話で、興味を持ったワークショップに参加をしたとき、たまたま隣に座っていたのが彼女でした。
そこで、彼女が仕事のことで何かの質問をしたときに「この人は、人の下で使われて働くよりも自分でやったほうがいいんじゃないかな」と思ったのを覚えています。
それがそのとき何となく印象に残ったことで、少し雑談をした気がするけれどそのまま別れて、それから約半年後にまたワークショップでばったり再会して、翌々日位に池袋でお茶&食事をしたのが本格的な “友情” の始まりでした。
彼女は私より10歳位年上なのですが、当時はまだ半分学生だった私に対し「あまり年の差を感じない」と言ってくれて、人としてきちんと接してくれた人の一人でした。(私は若いときに彼女のような年上の人たちと交流する機会が結構あったのですが、そういうこともあり、私自身も今、どんなに年が離れている人でもしっかり向き合おうという意識が育っている気がします)
そして、それからは頻繁にご飯を食べたり、公園に行ったり、映画を観たり、美術館に行ったり、旅行にまで行ったりもして、彼女との付き合いは女性同士なのだけれどなぜだか「オレもお前もがんばれよ!」と男言葉で言いたくなってしまうようなノリが根底にあるような感じで心地良く(^^)、彼女が家庭の事情もあって実家がある別府に帰ることを決めたときには、それまでみたいに会えなくなってしまうのがとても寂しかったけれど、それは彼女の選んだ道だし、その道を応援したいし「これも人生の一部なんだな~」としみじみ思いました。
今でも彼女とよく会っていた有楽町の辺りに行くと、当時のことを思い出します。
彼女が別府に帰ってからは、私の両親がツアーで九州に行くことになったときに、突然ホテルに登場して初対面である両親に挨拶&お土産をくれるというサプライズもありました。(そういえば事前にさりげなく「こっちではどこに泊まるの?」聞かれていました。^^)
また、私自身がご実家に遊びに行ったときには、今は亡き彼女のご両親ともお会いしました。
高千穂に行く私たちを朝早く車で駅に送ってくれたお母さんの姿や、お家のお風呂(←温泉なのです!)をいただくときに「のぼせないように気をつけてね~」とお父さんに気づかわれたことも覚えています。(そして「ハイ!」と言いつつ内心「大丈夫ですよ~」と思いながら、実際クラッとなりかけた思い出も。笑)
彼女とは本当に色々な話をたくさんしたのですが、あるとき突然「あのね、つらいときはつらいって言っていいんだよ」と言われたこともありました。
私は当時、本当に欲しいものがあるときには99パーセント位苦しくなるまで弱音を吐くことができないという傾向があったのですが(……そもそもそこまで精神的に頑張ってしまうのは、何かが違うということも感じているから……。だからあらゆる手を尽くして弱音を吐くときには、もうどうしてもうまくいかないと認めるとき。自分が意図的に遠ざけていた真実に向き合うときだから……)、そう彼女に言われたときには「Cさんには直接関係のないことだし、何をどこまで表現するかは私の自由だよね」というような返答をしてしまったのだけれど、「そうだけど、見ているこっちも苦しいよ」とさらに言われて、すごく大事な友達だったから簡単に受け流すわけにはいかなくて、その後自分の内側を探ってみたら「大丈夫だって笑ってないで、何とかしてよ~」と泣きながら怒っている女の子がいました。
後から「鏡になって見せてくれたんだね」というメールをした記憶もあります。
彼女は長年「パンづくり」に関わっていたのですが、自分のお店を持つことに足踏みをしているときに私が(「夢は叶えるべき」とかではなく、「やりたいならばやればいいのに」というシンプルな意で)「でもさ、Cさんはパン屋さんをやらないで何をするの?」と思わず言ってしまったら「う。……」となり、逆に私があんまり興味のないことに妙に一生懸命になりかけているときに「しのさんがそのエキスパートになって一体どうするの?」と突っ込まれて「そうだね……」と言ったこともありました。^^
お互い悶々としていた時期もあったけれど、背中を押し合ってきたのだと思います。
そして、東京と別府という距離を保つようになってからの私たちは、それぞれの世界で自分に集中という感じでこまめな連絡は取らずに半年に一度位長電話をしているのですが、無事に自分のお店を立ち上げた彼女は時々ずっしりとしたダンボールを送ってくれます。
彼女の作るパンは、彼女の優しいところも、律儀なところも、一緒にレストランに入ると「どうしたらこの空間がもっと活きるか?」みたいな目でその場を眺めていたところも、味にこだわりがあるところも、何かを始めたら全力でやるところも、全てが詰まっている感じで、食にかなりのこだわりがある別の友人も美味しいと頷くパンです!
もしも彼女がパン屋さんをやるという選択をしなければ、私がこのようなブログを書くこともなくて、今この文を目にしてくださっている方の “今という時間” もまた微妙に違っていたかもしれませんが ^^、世の中はこんなふうにたくさんの人の「やりたい」「やる」という思いが形になったもので溢れているんですね☆
(これを読んでくださっている方が、何かやりたいことがあって躊躇していたら、未来に待っているお客さんがいることを想像してみてください!)
別府の「マナブレッド」、お近くにいらっしゃることがあったらぜひ訪れてみてください!
(現在は、週3回お店を開けているとのことで、HPやFBにオープン日のお知らせが出ているそうです)
マナブレッド (HP)
マナブレッド(Facebook Page)
〒874-0919 大分県 別府市 石垣東7丁目4-41 (MAP)
Tel:0977-23-0306
遠いけれど「ぜひ食べてみたい」という方は、通販も受け付けているようですのでお店にお問い合わせください。
(冷凍保存もできますよ☆)